エクリプスマグネティクス社の濾過製品、鋼鉄汚染を低減

イギリスの高強度磁気装置メーカーは、ピックアップトラック用フレームの製造工程における鋼鉄汚染をいかに低減したか?

 電気泳動析出は、ピックアップトラック用フレーム製品を製造する際の重要な工程です。ところが、あるタイの自動車会社では、この工程で生じる鋼鉄汚染が目詰まりやブロッキングの原因となっていました。しかし、イギリスの高強度磁気装置メーカーが製造・設計するフィルターの使用によって、鋼鉄汚染は低減し、その結果、機械寿命を延長させることができました。
 電気泳動析出の工程は、前処理槽から電気泳動析出槽に至るいくつかの浸漬(しんし)槽からなります。組立ラインで製造されるピックアップトラック用フレームは、別のエリアに送られ、丹念に洗浄された後、仕上げのために電気泳動析出による最終的な塗膜処理が施されます。
 ピックアップトラック用フレームが入れられる最初の2つの浸漬槽は前処理槽です(それぞれ容積66立方メートルで、いずれも地面に設置)。それらの浸漬槽は、脱脂液(約9pHの純水に近い強アルカリ溶液)で充たされています。いずれの槽にも、ピックアップトラック用フレームから洗い落とされた汚染物を除去するためのバリアフィルターと遠心フィルターが取り付けられています。

 ところが、サムットプラカーンにあるタイ国いすゞ自動車が使用する濾過フィルターと遠心フィルターは効果がなく、すぐに汚染物が溜まってしまい、目詰まりやブロッキングを起こしていました。結果的に、それらのフィルターでは、前処理液から微細な鋼鉄汚染物を充分に除去することができず、電気泳動析出槽に汚染粒子が入り込んでしまいました。
 その結果、前処理槽を定期的に空にして清掃しなければならなくなり、機械のダウンタイムや製造工程の遅れが生じました。タイ国いすゞ自動車は、電気泳動析出浸漬槽の汚染を低減するための2つの高強度磁気フィルター(AutoMag SkidとFiltra Mag)をエクリプスマグネティクス社から納入しています。
 同社が納品しているのは、ポンプ、サンプ(集油)タンク、二次リターンポンプを備えたAutoMag Skid AM12S1-8です。AutoMag Skidは自動タイプであるため、生産時のダウンタイムがなくなり、生産工程が非常に効率的になります。
 AutoMag Skidは、磁性・常磁性汚染物(冷却剤や潤滑剤からサブミクロンサイズまで)を効果的に除去します。汚染流体は吸込口を通って第一濾過室に入ります。流水はそこで汚染粒子を除去する高強度の「レアアース」磁気コアの周囲をめぐります。流体は減速した後、第二濾過室に入り、そこでさらに濾過されます。汚染物は磁気コアのステンレス鋼スリーブに付着し続けますが、濾過された流体は排出口を通って出ていきます。

 パージング工程は完全に自動化されており、磁気コアがスリーブから持ち上げられ、パージバルブが切り替えられます。流体はフィルターを通してポンプで送られ、ステンレス鋼スリーブから汚染物を洗い流し、その汚染物をバッファー槽に運びます。次いで流体は減速し、冷却ローラーに送られます。パージングされた流体はかなり汚染されていますが、ローラーの流速と高強度の磁気によって、汚染除去はきわめて効率的に実行されます。次いで清浄な流体を再循環させ、ローラーから汚染物をこすり落とし、処分または再利用のために回収します。

 さらに、汚染物のほぼ100%を除去するため、遠心フィルターの前にFiltraMag 2.5が1台設置されました。FiltraMag 2.5の検査・清掃は、簡単にでき、時間もかかりません。FiltraMag 2.5は、機械の運転中に取り外して清掃することもできます。1万1,000ガウスの磁気コアパックは、フィルターを1回通過するだけで汚染物を確実に除去します。高強度の磁気コアは、サブミクロンサイズまで粒子を濾過し、流体は十分に濾過され、障害物を除去します。
 フィルターを導入して以来、タイ国いすゞ自動車の電気泳動析出槽では鋼鉄汚染物が見られなくなりました。また流体寿命の延長、ダウンタイムやフィルター費用の削減、機械寿命の延長によって、大幅なコスト削減が実現しました。
 エクリプスマグネティクス社製の濾過製品をタイで販売しているHuat Seng社のマヌーン氏によると、「現在、5ガロンバケツ1杯分の鋼製汚染物がAutoMag Skid AM12S1-8から3週間ごとに取り除かれている」といいます。「前処理槽内に鋼鉄汚染物はありますが、全体の質ははるかに改善し」、「電気泳動析出槽内に鉄鋼汚染物が見つかることはもうありません。AutoMagとFiltraMagの導入以来、汚染濃度レベルは大幅に改善しています。」

自動車部品メーカー、電気自動車時代への対応が課題

タイの自動車部品メーカーは、電気自動車(EV)の新時代を生き抜くために、他分野の製品への展開を進めていく必要があります。従来の自動車部品では、最新のEVスペックとして使い物にならないというのがタイ下請振興協会(サブコン協会)の見方です。
 国内自動車部品メーカーが加盟している同協会のチャナチップ会長は、他分野のいくつかの製品は、自動車部品産業で使われているのと同じ原材料から製造することができると述べています。潜在力のある分野の一つが医療機器です。なぜなら、タイ政府がASEANにおけるタイの医療ハブ化を推し進める明確な方針を打ち出しているからです。
 「私ども(タイ・サブコン協会)は、医療分野の需要を満たせる品目の生産に徐々にシフトしていくよう会員企業に伝えております。とりわけ、車いすや病院用ベッドなどは、自動車部品産業で使用されているのと同一品質の原材料からつくることが可能です」とチャナチップ会長は語っています。
 タイ・サブコン協会は、会員企業約500社、投資規模1,000億バーツ超の業界団体です。チャナチップ会長によると、同協会は、電気自動車の開発を後押しする政府の政策が自動車部品産業に大打撃を与える可能性を憂慮しているといいます。電気自動車に使用される部品は従来型の自動車に使用されているものとは異なるからです。国内自動車部品企業は、同じ原材料を使用する他分野の製品の製造にシフトするほうがはるかに安上がりでしょう。電気自動車の部品を製造するとなると、機械設備を新たに導入する必要があるからです。

 すでにタイのエネルギー会社のなかには、省エネ製品・サービスへの高まる需要を取り込もうと自社の事業を転換しているところもあります。
 国営の石油・ガス会社であるタイ石油公社(PTT)は、リチウムイオン電池の国内生産に向けた実現可能性の検討に入っています。PTT傘下のグローバル・パワー・シナジーは、アメリカの新興リチウムイオン電池会社24Mとライセンス・サービス契約を締結しました。
 タイ政府は、新経済時代に向けた10の産業(次世代自動車、スマート電子機器、富裕層向け医療・健康ツーリズム、農業・バイオテクノロジー、食品、産業用ロボット、物流・航空、バイオ燃料・バイオ化学、デジタル機器、医療サービス)を推進しています。
 チャナチップ会長によると、タイ・サブコン協会は、公立病院との間で医療機器の研究開発に向けた協力のあり方を探るための協議を開始する計画のようです。
 チャナチップ会長はまた、「タイ・サブコン協会は、会員企業が製造する車いすや病院用ベッドへの受注を獲得すべく公立病院に掛け合うつもりです」とも述べています。
 タイ工業連盟は先ごろ、医療・健康産業の基準と質を検査するための医療機器センターの設立を政府に要望しました。そうしたセンターがあれば、小規模企業の製品開発と市場開拓に役立つでしょう。
 タイは年平均で総額900億バーツの医療装置を輸出し、500億バーツの医療機器を輸入しています。