タイの自動車産業、電気自動車(EV)化に向かうのか?

タイの自動車産業は将来、電気自動車(EV)化に向かうのでしょうか? 

もしそうなるとすれば、フロントランナーとなりうるのは電池式電気自動車(BEV)です。モンクット工科大学ラートクラバン校(KMITL)の5人の教授は、BEV「ヴェラ」が先端を走っていると主張しています。
 環境配慮型自動車にたいするタイの姿勢は真剣味を帯びつつあります。タイ政府は民間投資を奨励するEV産業振興ロードマップの発表を準備しており、タイ工業連盟(FTI)の協力も地元メディアで報じられています。
 経済関係省庁を統括するソムキッド副首相は、プラユット首相およびタイ投資委員会との来たる会合で、EV産業5〜10カ年計画の詳細を話し合うと述べており、「関係業界への指針となる計画を確定し、政府のEV振興計画のスケジュールを提示する」意向を明らかにしています。
 タイ政府は、喧伝されている東部経済回廊の利用に向けて本腰を入れているようです。チャチュンサオ、チョンブリー、ラヨーンの3県にまたがる東部経済回廊は、先進産業の本拠地かつ「タイランド4.0」のショーケースとして計画されており、EV生産の中心地となるでしょう。「タイランド4.0」とは、イノベーション、進歩、環境配慮型技術、研究開発、創造性を原動力とする経済・社会への転換を企図するタイの国家戦略です。

タイ政府が推し進めている東部経済回廊の紹介
http://e-asean.net/4280(外部リンク:教えてASEAN.NET)

 KMITLの5人のタイ人技術者は、Vera Automotive社の設立者でもあります。同社は新たな「タイ」ブランドの電池式電気自動車(BEV)の生みの親です。
 Automotive Focus Group(AFG)も、「東洋のデトロイト」という最新の目標に注目しており、5月26日にKMITLの教授たちを招いてホリデイ・イン・ホールで講演会を開き、プロトタイプ「ヴェラ1」のお披露目を行っています。
 「ヴェラ1」には、AFGのメンバーも高い関心を寄せています。現時点では大まかな情報しかありませんが、「ヴェラ1」の最高時速は105キロ、走行距離は1充電あたり180キロメートル、1回の充電所要時間は6時間とされています。
 Vera Automotive社の共同設立者の一人ワンチャイ・メシリ氏によると、すべてのヴェラ車は「タイ」ブランドで、タイの技術者たちによって設計されていますが、BEVの生産は中国の自動車メーカー吉利(ジーリー)自動車に委託し、同社から完成車(CBU)の形でタイに輸入しています。
 「Vera 1」の追加情報については、AFGメンバーへのお披露目と専門家との会合(5月26日、於ホリデイ・イン・ホール)において明らかにされます。AFGメンバーは、会場入口で許可を得て入場できますが、非メンバーはキャンセル待ちとなります。

日本のFOMM、タイに新たな電気自動車工場を建設へ

日本企業FOMMは今年、アマタナコーン工業団地にコンパクト電気自動車(EV)の組立工場を建設する工事に着手する予定です。新工場は来年6月までの生産開始を目指しています。同社の鶴巻日出夫社長によると、同工場は約600万USドル(2億600万バーツ)が出資され、年間5,000台のコンパクトEVが生産されるということです。

 2013年に神奈川県川崎市に設立されたFOMMは、4人乗りEVの開発・製造のほか、コンパクトEVの設計・開発、超小型EV技術に関する顧問サービスの提供、EVコンポーネントの設計・開発、エンジニアリング顧問サービスの提供も行っています。
FOMMは2014年に600万USドルの予算を投じて第一プロトタイプと第二プロトタイプの開発に成功しました。
 FOMMは昨年2月、タイに合弁企業FOMMアジアを設立しました。登録資本3億6,000万バーツ(株式の49.9%をFOMMとTrinexが、0.2%をKUSUMOTO CHAVALIT & PARTNERS LTD.がそれぞれ保有)のFOMMアジアは、EVの研究開発、製造、マーケティング・販売を担当し、EV生産施設を運営しています。
 鶴巻社長によると、FOMMは、タイ投資委員会(BoI)から与えられる投資優遇措置の詳細を現在検討中であるといいます。
 BoIは今年3月、EVへの優遇措置(5〜8年間の課税免除を含む)を承認しました。対象となる事業は、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグイン電気自動車(PHEV)、電池式電気自動車(BEV)の生産です。また重要EV部品10品目(電池、トラクションモーター、電池管理サービス、EVスマート充電システム、DC-DCコンバーター、インバーター、EVポータブル充電器、電路遮断器)に対する法人所得税が8年間免除されます。
 「こうした優遇措置はFOMMにとって望ましいものになると思われますので、私どもはEVの現地生産を計画しております」と語る鶴巻社長は、FOMMにとって専ら関心があるのは、すでにプロトタイプのコンパクトEVが出来ている電池式電気自動車(BEV)であると述べています。
 生産コストの上昇により、FOMMのコンパクトEVは、当初の見積もりよりもコストがかさむ(それぞれ30万〜40万バーツ高くなる)ものと推定されています。
 また目標とされる現地販売台数は、2018年が4,000台、2019年が1万6,000台、2020年が3万台、2021年が4万台と設定されています。さらに2018年にはASEANとヨーロッパへの輸出も計画されています。