タイの自動車市場、5年ぶりに息を吹き返す

バンコク——タイの自動車市場は、2017年の今年ようやく息を吹き返しそうです。2011年9月から2012年末にかけて実施されたファーストカー減税(自動車の初回購入者に物品税を払い戻す税制優遇措置)の恩恵を受けた自動車購入者は、自動車を5年間保有し続けなければなりませんでした。その彼らが自家用車を売り払い、新車を買い替えられるときがやって来たのです。
 日本の大手自動車メーカーは今年1月、新車の売り出しを発表しました。久々の好景気の恩恵にあずかろうとするメーカー各社の思いの強さが表れています。
 タイ国トヨタ自動車の棚田京一社長は1月31日、昨年(2016年)は自動車業界にとっては最も厳しい年であったが、2017年のタイの新車市場は好転し、前年比4%増の80万台になるとの見通しを明らかにしました。日本のトップ自動車メーカーであるトヨタは、タイ自動車市場の30%以上のシェアを誇り、同社の見通しは、販売環境を見極める際の主要な指標と見られています。
 自動車メーカー各社は、我先にこの市場回復の波に乗ろうとしています。たとえば、ホンダは、主力コンパクトセダンの新型「シティ」(ホンダの東南アジア販売の4分の1を占める)の発売を発表しました。ホンダは今年、タイにおける同社の全車種販売台数を前年比12%増とする計画を明らかにしています。
 マツダはより積極的な目標を掲げ、前年比18%増と、2000年以降最大の市場シェア達成を目指しています。マツダは、新型ミッドサイズ「マツダ3」を含む6車種を発表しました。
 トヨタは、ホンダ「シティ」に対抗し、コンパクトセダン「ヴィオス」を発表しました。日産は、先進安全装備で話題のコンパクトカー「ノート」の投入を準備しています。

5年間の停滞にやっと終止符
 2011年9月に前政権によって実施されたファーストカー減税は、市場に長引く深刻な影響を及ぼしました。それは、需要の急拡大をもたらし、2012年のタイの新車販売台数は過去最高の143万台(2011年の約2倍)となりました。ファーストカー減税の利用者は、購入した自動車の5年間保有が義務づけられていました。そのときの購入者の多くが、2017年の今年ようやく縛りを解かれ、新車の購入が可能になるわけです。
 英語版バンコク・ポスト紙によると、タイ工業連盟(FTI)の自動車工業倶楽部で広報を担当するスラポン氏は、「政府のファーストカー減税で自動車を購入したおよそ2万人から3万人が、新車の買い替えを行うと見られることから、わが自動車工業倶楽部は市場心理を楽観的に捉えております」と語っています。またスラポン氏は、新車販売が好調な一因として、農産物価格の上昇を挙げています。
 市場回復とは言うものの、2017年の自動車販売台数は2012年の60%にも届きそうもありません。しかしファーストカー減税の後遺症が、今の自動車業界の昂奮をもたらしていることは確かでしょう。
 ファーストカー減税は、多くの消費者に自動車購入に踏み切らせました。ただし、その結果、自動車販売は2014年以降縮小しました。タイに工場を持つ自動車メーカーは、輸出の拡大によって事業の維持を図りましたが、一部の施設は閉鎖に追い込まれました。トヨタは昨年800人の希望退職を募集しました。ホンダはタイにある施設の一部を停止し、タイ工場の生産能力を3分の2まで縮小することを決定しました。
 タイ製造業の柱である自動車ビジネスの減速は、タイ経済全体にブレーキをかけています。2014年始め以降ほぼすべての四半期における資本財生産(実質的に自動車生産)の増加率(前年同期比)は、タイの四半期GDP成長率を下回りました。
 中長期的に見て、自動車市場はどうなっていくのでしょうか?
 マツダでASEAN事業を担当する井上寛(ひろし)氏は、緩やかな回復を予想しており、2020年までに販売台数を100万台まで回復させることができると見ています。
 トヨタの棚田氏は、ベースライン値を90万台と捉え、経済が好調なうちは100万台まで伸び、不調になれば80万台まで落ち込むと読んでいます。
 いずれにせよ、将来の見通しはV字回復からは程遠い状態です。市場の各プレーヤーは、大幅な成長が見込めないなかで、わずかなパイを必死に奪い合う熾烈な戦いを強いられることになるでしょう。

東南アジアの緩やかな成長
 2016年の東南アジア主要6カ国の新車販売台数の合計は、3年ぶりに前年比3%増の約320万台となりました。タイの成長は減速しましたが、域内最大市場であるインドネシアの急速な回復が全体の販売を下支えしたものと思われます。
 東南アジアの市場規模は、インドやイギリスのそれに匹敵します。日本の各メーカーはこの地域に強いプレゼンスを築いており、全体で市場シェアの約80%を占めています。そのため、東南アジア市場の浮き沈みは、各社の収益に直接響いてきます。
 自動車産業界はまだ公式のデータを発表していませんが、2016年のインドネシアの新車販売台数は前年比5%増の約106万台と見られます。低金利などの影響もあり、消費者心理に改善が見られます。
 2016年の新車販売台数は、フィリピンが約40万台、ベトナムが約30万台でした。両国の市場とも2桁成長を続けています。
 2017年にはマレーシア市場も回復が見込まれており、東南アジア市場の成長軌道の継続に寄与することでしょう。
 トヨタの棚田氏は、タイとインドネシアの巨大市場の絶大な影響を踏まえ、東南アジア地域の成長率は10%以下の緩やかなものになるとの見通しを示しています。インドネシアの自動車市場は110万台に届くものと見られます。
 米国の金利が上がっても、東南アジア諸国は同じ幅しか金利を下げられません。東南アジアにとって最大の貿易相手国・中国の経済は不確実性に覆われています。市場の規模とシェアにばかり目を奪われていると、かえって収益を損なうおそれがあります。そのため、自動車メーカーは、市場を注意深く見極めながら自社の戦略を立てていかなければなりません。

タイの自動車クラスター


タイの自動車産業は50年以上前に誕生しました。以来、東南アジア最大かつ世界有数の自動車ハブへと発展してきました。2016年現在、タイは世界第13位の自動車生産国となっています。国内市場の規模という点でも、自動車コンポーネントのサプライヤーが集まるクラスターが確立しているという点でも、タイには強みがあります。自動車産業は、タイのGDPの12%近くを占めており、OEMとサプライヤー(Tier 1、Tier 2およびTier 3)を含め、50万人以上を雇用しています。日本のOEMが市場の85%を、米国のOEMが15%をそれぞれ占めています。

2016年、タイ政府は従来のエンジン排気量に代えて、二酸化炭素(CO2)の排出量、(エタノールを85%混合した)ガソホールE85への対応、燃料効率に基づく新たな物品税を導入しました。最大の影響を受けた車種は、SUVとピックアップトラックでした。2016年以降、消費者は新物品税が課されることになったため、駆け込み需要が増え、2015年後半の自動車販売は増加しました。
 タイ政府はまた、一定期間の所得税免除、物品税還付、その他の税制優遇措置など、製造業者に対してエコカー生産を奨励しています。エコカーと同様、タイ政府は電気自動車(EV)も視野に入れています。2016年、タイ投資委員会(BoI)はEV生産奨励策として、電池式電気自動車(BEV)の輸入関税免除とBEV生産に対する優遇措置を決定しました。

タイの自動車クラスターは自動車企業などの集合体のことです。Tier1企業が700社、Tier2およびTier3企業が1,700社からなり、自動車産業全体の労働者の約80%を雇用しています。この労働者の多くはワーカーが占められており、こういったワーカーは工業団地の近隣の出身者になります。しかし、技術者などの雇用は工業団地から離れた地域などから働きにくることが多いです。
ワーカーと呼ばれる労働者は近隣の出身者が多いため、工場前の張り紙や友人・知人などの紹介でほとんどが集まります。技術者になると近隣の出身者から見つけることも出来ますが、多くは人材紹介会社などに依頼して集めることが多いです。

タイの自動車クラスターでの仕事を扱う人材紹介会社
https://kyujin.careerlink.asia/thailand(外部リンク:キャリアリンクタイランド)

タイ製の部品およびコンポーネントは、世界のOEMからその高い品質が評価されており、タイにおける組立部品全体の約85%を占めています。タイの自動車輸出の約75%は自動車部品、次いでエンジンや予備部品となっています。グローバルOEM部品サプライヤーの上位100社のうち50社以上が、タイに製造拠点を置いています。

2016年のタイの自動車生産と輸出は減少しましたが、国内販売は前年より増加しました。2017年の国内販売は前年比6.7%増となっています。ただし、石油価格の下落と世界経済の状況から、輸出は伸び悩みが予想されます。記録的な家計の負債や購買力の低下、貸付承認手続きの厳格化は、2017年の国内経済の回復に悪影響を与えることになるでしょう。
 タイ政府は2011年に、自動車の初回購入者に物品税を払い戻す優遇措置(いわゆるファーストカー減税)を実施しました。その影響で2012年の自動車販売は急増したものの、翌13年には減少しました。政府の優遇措置は、購入した自動車の売却を5年間禁じていました。当時ファーストカー減税を利用した自動車購入者は、今年になってようやく売却が可能になりました。すでに自家用車を所有している者の多くも、より効率的な新型モデル(2016年に実施されたCO2排出量ベースの物品税制に対応した自動車)の購入を検討しています。OEM各社は、ファーストカー減税の恩恵を受けた30万人の購入者が毎年新車を購入するものと見込んでいます。需要の増加を期待する多くの日本の自動車メーカーも、新車購入検討者を魅了するより効率的な新型モデルの発売を2017年に予定しています。
 CO2排出量ベースの新物品税制は、近い将来における環境配慮型自動車への移行を進める政府の取り組みの表れです。従来型のガソリン車よりも温室効果ガスの排出量が少ないエコカーの市場シェアは、2015年の35.7%から翌2016年には39.8%へと拡大しました。政府は、EVへの買い替え奨励策を講じ、EV普及のための充電ステーション等の支援基盤を整備する必要があります。
 タイは近い将来も東南アジアにおける製造業の中心であり続けるでしょう。しかし成長を持続させるためには、研究開発に投資する必要があります。EVやエコカー、ハイブリッドなどの新技術への重点的な取り組みを通じて、タイは今後15〜20年以内に内燃機関の段階的廃止に徐々に進みつつある輸出先市場のニーズに応えられるようになるでしょう。

日産と三菱自、東南アジアでの提携を強化へ

日産自動車と三菱自動車は、きわめて重要度の高い東南アジアの自動車産業において国内のライバル企業と戦うため、両社の過去7カ月間のアライアンス(提携)を強化する計画を進めています。
 両社の会長を兼ね、フランス・ルノー社の取締役会長兼CEOでもあるカルロス・ゴーン氏は、日産と三菱自が、すでに発表したよりも大幅なコスト削減を目指していることから、サプライヤー、サービス、技術の共有を促進する意向を明らかにしています。
 燃費データ改竄スキャンダルでライバルの三菱自が打撃を受けたのち、2016年に同社株式の34%を日産が取得しました。これで強化された日産・三菱アライアンスにとって、東南アジアは試金石の場となるでしょう。同アライアンスが主張するように、東南アジアにおける両社の業務は重なる部分が多く、その提携の強化は、トヨタなど競合他社から市場シェアを奪い取るのに役立つでしょう。
 米国の自動車市場がピークを過ぎ、日産グループがその伝統的牙城・中国で他の日本車メーカーとの競争にしのぎを削っているまさにそのとき、日産は東南アジアにおいて攻勢をかけています。
 2017年はアライアンス全3社(日産・三菱自・ルノー)にとって「非常に力強い」年になりつつありますが、東南アジアにおいて、日産と三菱自はその潜在力を「かなり下回って」いる市場シェアを拡大するため、互いに協力していく必要があるとゴーン氏は述べています。
 モルガン・スタンレーMUFG証券のデータによると、2016年のASEAN地域における日産の市場シェアは5%でした。三菱自の市場シェアはそれを上回る7%でしたが、同社の競争力と製品ラインナップは、研究開発費の削減後に縮小しています。
 ゴーン氏は、「両社が協力すれば、製品提供やローカリゼーション、その他多くの点で強化が図られるでしょう。それによって両社は、東南アジアにおいて今よりもはるかに優れ、はるかに競争力のある企業になるでしょう」と語っています。
 ゴーン氏はまた、仕入れや物流を共有すれば、技術や生産プラットフォームの共同管理も進むとも述べています。
 先のタイとインドネシアの訪問の締め括りに演説したゴーン氏は、「これらは、2018年、2019年、2020年に実現することになる」と語っています。

 日産と三菱自の会長を兼務するゴーン氏は、両社のアライアンスは設備利用を高め、「はるかに合理的な方法で」そのプラントを活用できるようになると述べています。
 日産は先ごろ、三菱自の幹部(小糸栄偉知氏)をインドネシアの事業責任者に就けました。日産・三菱アライアンスに専念するため4月に日産のCEOを退いたゴーン氏は、「われわれは同じパートナーを持ち、同じ技術を使うことになる」と述べ、「それ(=アライアンス)は、われわれが二度手間をかけずに済む唯一の方法です」と語っています。
 日産と三菱自は、両社のアライアンスによって、2017−18会計年度に計490億円(4億3,800万USドル)、2018−19会計年度には計1,000億円のグローバルコストが削減できると見積もっています。

 ゴーン氏は、政府が産業支援を表明してくれればすぐに、日産・三菱アライアンスは、東南アジアで電気自動車を推進する用意ができていると述べています。「東南アジアの自動車市場に電気ショックを与える“願望”ならぬ“意志”があるという最初の合図があれば、われわれはそこに立っているでしょう」とゴーン氏は語っています。
 モルガン・スタンレーMUFG証券のアナリスト磯崎仁(ひとし)氏は、東南アジアにおける三菱の強力なプレゼンスに加え、東南アジアと関係の深い商社など、巨大な三菱グループが持つ販売・流通網を活用することで、日産はアライアンスのうまみを享受することができると主張しています。
 磯崎氏は、2016年のグローバル自動車市場における日産のシェアが6%であったと述べ、「日産がASEAN市場を奪取しないかぎり、そのグローバルシェア目標の8%達成は難しい」と語っています。

パキスタンの自動車ベンダー、タイとのFTAを懸念


パキスタンの自動車ベンダー各社は、現在進行中のパキスタン‐タイ自由貿易協定(FTA)交渉に不快感を示しています。
 パキスタン商務省は、産業省工業開発局(EDB)にたいし、パキスタンの潜在的市場規模について検討したタイが自動車市場へのアクセスを要求していることを伝えました。
 タイは、パキスタンに対して提示する譲許表に、自動車と自動車部品を加えています。その他のFTAでは、譲許表のなかに自動車は含まれていません。
 EDBは、パキスタン‐タイFTAについて協議するための会合の開催(2016年11月10日、於イスラマバード)を自動車分野の利害関係者に呼びかけました。
 EDBは、利害関係者に宛てた書簡のなかで、パキスタン政府は、新規投資家や既存のOEMとベンダーへの優遇措置を定めた自動車政策2016〜2021(2016年7月1日発効)を導入していると述べています。そして、いかなるFTAであれ、自動車部門を優遇する最恵国待遇(MFN)税率を変更することは、自動車政策の精神に背くことになるというEDBの信念を伝えています。
 パキスタン商務省は、パキスタン‐タイFTA交渉の第5回会合は2016年11月16日から18日までタイで開催されるとEDBに伝えています。第5回会合では、パキスタン、タイ双方が相手国に提示するオファーリストと関税引き下げモダリティ(TRM)について協議、確定することになっています。
 大手自動車組立業者3社は、すでにタイから相当量の部品や付属品を輸入しています。この事実は明記しておくべきでしょう。
 パキスタン自動車部品工業会(PAAPAM)の元会長アミール・アラワラ氏は、パキスタン政府にたいし、現在進行中のFTA交渉から自動車分野を除外すべきだと主張しています。
 アラワラ氏は、FTAの譲許税率が適用されると、新自動車政策において政府が公表している現行の関税率はそれに取って代わられるうえ、FTAによって関税率が引き下げられれば、国産部品の使用が手控えられ、将来のローカライゼーションに向けた投資計画が見送られ、さらには連邦政府の歳入に損失がもたらされるなど、数々の問題点を挙げています。
 アラワラ氏はまた、FTAによる自動車部品の輸入を許せば、自動車組立や部品製造への既存・新規プレーヤーの投資誘致を目指す政府の取り組みにも悪影響が生じると述べています。加えて、自動車部門は300万人以上の労働者、技術者、エンジニア、経営専門家に直接間接の仕事を提供しているとも述べています。

 一方、パキスタンオートバイ組立業者協会(APMA)のムハンマド・サビル・シェイク会長は、パキスタン‐タイFTAによって主に恩恵を受けるのは、パキスタンにある日本の組立業者であると述べています。
 シェイク会長によると、日本の組立業者は、パキスタン市場向けに30年前の型の自動車やバイクを製造しているといいます。しかも日本の組立業者は、タイ市場向けに、トヨタやホンダ、スズキの自動車や、ホンダ、ヤマハ、スズキの最新型バイクも製造しています。
 シェイク会長は、パキスタン市場は新型のバイクや自動車も必要としており、それはFTAその他の協定を通じて実現可能であるとも述べています。

エクリプスマグネティクス社の濾過製品、鋼鉄汚染を低減

イギリスの高強度磁気装置メーカーは、ピックアップトラック用フレームの製造工程における鋼鉄汚染をいかに低減したか?

 電気泳動析出は、ピックアップトラック用フレーム製品を製造する際の重要な工程です。ところが、あるタイの自動車会社では、この工程で生じる鋼鉄汚染が目詰まりやブロッキングの原因となっていました。しかし、イギリスの高強度磁気装置メーカーが製造・設計するフィルターの使用によって、鋼鉄汚染は低減し、その結果、機械寿命を延長させることができました。
 電気泳動析出の工程は、前処理槽から電気泳動析出槽に至るいくつかの浸漬(しんし)槽からなります。組立ラインで製造されるピックアップトラック用フレームは、別のエリアに送られ、丹念に洗浄された後、仕上げのために電気泳動析出による最終的な塗膜処理が施されます。
 ピックアップトラック用フレームが入れられる最初の2つの浸漬槽は前処理槽です(それぞれ容積66立方メートルで、いずれも地面に設置)。それらの浸漬槽は、脱脂液(約9pHの純水に近い強アルカリ溶液)で充たされています。いずれの槽にも、ピックアップトラック用フレームから洗い落とされた汚染物を除去するためのバリアフィルターと遠心フィルターが取り付けられています。

 ところが、サムットプラカーンにあるタイ国いすゞ自動車が使用する濾過フィルターと遠心フィルターは効果がなく、すぐに汚染物が溜まってしまい、目詰まりやブロッキングを起こしていました。結果的に、それらのフィルターでは、前処理液から微細な鋼鉄汚染物を充分に除去することができず、電気泳動析出槽に汚染粒子が入り込んでしまいました。
 その結果、前処理槽を定期的に空にして清掃しなければならなくなり、機械のダウンタイムや製造工程の遅れが生じました。タイ国いすゞ自動車は、電気泳動析出浸漬槽の汚染を低減するための2つの高強度磁気フィルター(AutoMag SkidとFiltra Mag)をエクリプスマグネティクス社から納入しています。
 同社が納品しているのは、ポンプ、サンプ(集油)タンク、二次リターンポンプを備えたAutoMag Skid AM12S1-8です。AutoMag Skidは自動タイプであるため、生産時のダウンタイムがなくなり、生産工程が非常に効率的になります。
 AutoMag Skidは、磁性・常磁性汚染物(冷却剤や潤滑剤からサブミクロンサイズまで)を効果的に除去します。汚染流体は吸込口を通って第一濾過室に入ります。流水はそこで汚染粒子を除去する高強度の「レアアース」磁気コアの周囲をめぐります。流体は減速した後、第二濾過室に入り、そこでさらに濾過されます。汚染物は磁気コアのステンレス鋼スリーブに付着し続けますが、濾過された流体は排出口を通って出ていきます。

 パージング工程は完全に自動化されており、磁気コアがスリーブから持ち上げられ、パージバルブが切り替えられます。流体はフィルターを通してポンプで送られ、ステンレス鋼スリーブから汚染物を洗い流し、その汚染物をバッファー槽に運びます。次いで流体は減速し、冷却ローラーに送られます。パージングされた流体はかなり汚染されていますが、ローラーの流速と高強度の磁気によって、汚染除去はきわめて効率的に実行されます。次いで清浄な流体を再循環させ、ローラーから汚染物をこすり落とし、処分または再利用のために回収します。

 さらに、汚染物のほぼ100%を除去するため、遠心フィルターの前にFiltraMag 2.5が1台設置されました。FiltraMag 2.5の検査・清掃は、簡単にでき、時間もかかりません。FiltraMag 2.5は、機械の運転中に取り外して清掃することもできます。1万1,000ガウスの磁気コアパックは、フィルターを1回通過するだけで汚染物を確実に除去します。高強度の磁気コアは、サブミクロンサイズまで粒子を濾過し、流体は十分に濾過され、障害物を除去します。
 フィルターを導入して以来、タイ国いすゞ自動車の電気泳動析出槽では鋼鉄汚染物が見られなくなりました。また流体寿命の延長、ダウンタイムやフィルター費用の削減、機械寿命の延長によって、大幅なコスト削減が実現しました。
 エクリプスマグネティクス社製の濾過製品をタイで販売しているHuat Seng社のマヌーン氏によると、「現在、5ガロンバケツ1杯分の鋼製汚染物がAutoMag Skid AM12S1-8から3週間ごとに取り除かれている」といいます。「前処理槽内に鋼鉄汚染物はありますが、全体の質ははるかに改善し」、「電気泳動析出槽内に鉄鋼汚染物が見つかることはもうありません。AutoMagとFiltraMagの導入以来、汚染濃度レベルは大幅に改善しています。」

交通安全の向上を目指す「ストップ・ザ・クラッシュ」キャンペーンがタイで開始

交通事故から命を守るための最新の衝突回避技術の普及を目指すグローバル連携の取り組み「ストップ・ザ・クラッシュ」キャンペーンが5月12日、タイのバンコクで始まりました。タイは、交通安全事情が世界でも最悪な国の一つです。
 バンコクでのイベントは、2016年11月にマレーシアのクアラルンプールで実施されたASEANのキャンペーン成功を受けたものです。マレーシアのイベントでは、横滑り防止装置(ESC)が2018年6月から同国で義務化されることが交通相から発表されました。

 タイ国内の交通死亡事故の約4分の3は自動二輪車または自動三輪車が原因となっていることから、バンコクにおけるキャンペーンは、オートバイの安全技術に重点を置いています。「ストップ・ザ・クラッシュ」で実演された二つの技術、オートバイ用アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)と死角検知(BSD)システムは、タイにおける交通死亡事故を減らし、多くの命を救ううえで非常に大きな効果を発揮するでしょう。
 「ストップ・ザ・クラッシュ」では、その他ESCや衝突被害軽減ブレーキ(AEB)などの技術も実演されました。このイベントは、タイ内務省、世界保健機関(WHO)、モンクット王工科大学ラートクラバン校(KMITL)およびタイ健康促進財団が後援しています。
 タイ版「ストップ・ザ・クラッシュ」は、ロンドンモーターショーやウルグアイのモンテビデオでのイベントに続く、国連世界交通安全週間「スロー・ダウン」への連携支援の一環として開催された第4回「ストップ・ザ・クラッシュ」イベントです。
 以下は、「ストップ・ザ・クラッシュ」に関する主要関係者の発言です。
◇「ストップ・ザ・クラッシュ」のデービッド・ウォード事務局長
「『ストップ・ザ・クラッシュ』はタイにおいて歓迎されています。この国は交通安全上の深刻な課題を抱えておりますが、オートバイ用ABS、ESC、BSDによってそれが改善される可能性があります。」
「『ストップ・ザ・クラッシュ』へのタイ政府の参加を嬉しく思います。私どもとしては、タイ政府に法律の制定を強くお願いしたい。それが、交通死亡事故を減らすためのいちばんの近道だからです。」

◇タイ内務省災害防止軽減局のコブチャイ次長
「われわれは、国連交通安全週間中の本日、タイにおいて『ストップ・ザ・クラッシュ』を開催できることを非常に喜ばしく思います。タイの車は、重い二輪車からなり、オートバイ用ABSや死角検知(BSD)などの実証済み技術は、衝突防止に役立つでしょう。」
「『ストップ・ザ・クラッシュ』は、タイ市場への救命技術の導入を加速させる大きな効果を持ち、命を救うことに役立ちます。われわれはその目的を達成するため、グローバルNCAP(新車アセスメントプログラム)および『ストップ・ザ・クラッシュ』パートナーシップとの緊密な協力関係を継続していけることを楽しみにしております。」

◇タイ交通安全システム改革特別委員会委員長兼「交通安全立法議員のグローバルネットワーク」リーダーシップ会議メンバーのニコン・チャムノン下院議員
「国連世界交通安全週間の期間中、タイにおいて『ストップ・ザ・クラッシュ』が実施されることは素晴らしいことです。わが国の交通死亡事故の増加を食い止めるうえで、安全技術は喫緊に必要とされています。」
「今週発表された第4回交通安全宣言(RoadSafety Manifesto)は、世界各国の国会議員が自国で制定する交通安全法規のひな型を定めています。わたくしは、わが国にとって大いに必要とされ、命を救うことに役立つ二つの技術、ESCとオートバイ用ABSに関する法律をタイ政府が『ストップ・ザ・クラッシュ』後に制定することを願っております。」

◇ASEAN NCAP事務局長のカイリル・アンワル・アブ・カシム博士
「ASEAN NCAPは、自動車の安全性レベルを評価するための衝突試験を実施しております。われわれが与える格付けは、自動車が衝突発生時に乗員をどれだけ保護することができるかを示しています。われわれは今年初め、各自動車にどれだけ事故の発生を予防する能力があるかを評価することによって、基準を引き上げてきました。『ストップ・ザ・クラッシュ』は、自動車の救命技術を促進する取り組みです。世界中の研究が示しているとおり、ESCは、制御不能となった自動車の衝突がもたらす死亡事故の少なくとも40%を防止し、危機的状況に陥った際の操縦制御の大幅な改善によって衝突リスクを低減させることができます。われわれは、こうした情報を広く知らせることによって、顧客が新車購入時に安全技術について絶えず話し合うようになることを願っております。」

ベトナム首相、タイとのヘマラート工業団地合弁事業を承認

アジア・ニュース・ネットワークの報道によると、タイのヘマラートランド・アンド・ディベロップメント(ヘマラート社)とベトナムの第4シビル・エンジニアリング・コンストラクション(シエンコ4)との間の10億USドル(23兆ドン)規模の合弁工業団地は、5月第4週にベトナムのグエン・スアン・フック首相の承認を得ました。この合弁事業は、ベトナムのゲアン県にある2つの地区(ギロックとディエン・チャウ)の総面積3,200ヘクタールの土地に関する70年のリース契約です。全7段階のうち、第一段階では、約500ヘクタールの開発に着手します。これには2兆1,000億ドンの資金が必要になります。

 ヘマラート社のデービッド・ナルドンCEOが以前タイのメディアに語ったところによると、ベトナム経済は、製造業の高い競争力に支えられた力強く強靭な成長によって、将来の見通しは依然として明るいようです。ナルドンCEOは、「ベトナムは、中国、韓国、日本といった巨大市場へのゲートウェイとして戦略的に重要な位置を占めていることから、私どもはこのたび同地に初めて直接的プレゼンスを築けることに胸躍らせています」とも語っています。

 ゲアン県はベトナム最大の県で、ハノイからは290キロも南に離れています。しかしながら、ヘマラート工業団地は、ハイウェイ1Aやハノイ=ホーチミン間の鉄道に隣接し、ヴィン国際空港から10キロの地点にあり、近くには4つの港があります(計画段階では、そのうち3つが深海港)。現在、ヘマラート社は、8つの工業団地(総面積7,000ヘクタール)を所有し、600社以上の企業を誘致しています。それらの工業団地は、自動車製造・物流ハブとして有名です。ヘマラート社は今年2月、タイ中部のラヨーン県において9番目の工業団地(総面積300ヘクタール)の建設に着工すると発表しました。この公共インフラは今年完成する予定です。

タイの自動車産業、電気自動車(EV)化に向かうのか?

タイの自動車産業は将来、電気自動車(EV)化に向かうのでしょうか? 

もしそうなるとすれば、フロントランナーとなりうるのは電池式電気自動車(BEV)です。モンクット工科大学ラートクラバン校(KMITL)の5人の教授は、BEV「ヴェラ」が先端を走っていると主張しています。
 環境配慮型自動車にたいするタイの姿勢は真剣味を帯びつつあります。タイ政府は民間投資を奨励するEV産業振興ロードマップの発表を準備しており、タイ工業連盟(FTI)の協力も地元メディアで報じられています。
 経済関係省庁を統括するソムキッド副首相は、プラユット首相およびタイ投資委員会との来たる会合で、EV産業5〜10カ年計画の詳細を話し合うと述べており、「関係業界への指針となる計画を確定し、政府のEV振興計画のスケジュールを提示する」意向を明らかにしています。
 タイ政府は、喧伝されている東部経済回廊の利用に向けて本腰を入れているようです。チャチュンサオ、チョンブリー、ラヨーンの3県にまたがる東部経済回廊は、先進産業の本拠地かつ「タイランド4.0」のショーケースとして計画されており、EV生産の中心地となるでしょう。「タイランド4.0」とは、イノベーション、進歩、環境配慮型技術、研究開発、創造性を原動力とする経済・社会への転換を企図するタイの国家戦略です。

タイ政府が推し進めている東部経済回廊の紹介
http://e-asean.net/4280(外部リンク:教えてASEAN.NET)

 KMITLの5人のタイ人技術者は、Vera Automotive社の設立者でもあります。同社は新たな「タイ」ブランドの電池式電気自動車(BEV)の生みの親です。
 Automotive Focus Group(AFG)も、「東洋のデトロイト」という最新の目標に注目しており、5月26日にKMITLの教授たちを招いてホリデイ・イン・ホールで講演会を開き、プロトタイプ「ヴェラ1」のお披露目を行っています。
 「ヴェラ1」には、AFGのメンバーも高い関心を寄せています。現時点では大まかな情報しかありませんが、「ヴェラ1」の最高時速は105キロ、走行距離は1充電あたり180キロメートル、1回の充電所要時間は6時間とされています。
 Vera Automotive社の共同設立者の一人ワンチャイ・メシリ氏によると、すべてのヴェラ車は「タイ」ブランドで、タイの技術者たちによって設計されていますが、BEVの生産は中国の自動車メーカー吉利(ジーリー)自動車に委託し、同社から完成車(CBU)の形でタイに輸入しています。
 「Vera 1」の追加情報については、AFGメンバーへのお披露目と専門家との会合(5月26日、於ホリデイ・イン・ホール)において明らかにされます。AFGメンバーは、会場入口で許可を得て入場できますが、非メンバーはキャンセル待ちとなります。

タタモーターズ、BGACと自動車組立契約を締結

インドの自動車会社タタモーターズの子会社タタモーターズ・タイランド社は、5億バーツを出資して、バンコクに新たな自動車組立工場を建設する予定です。
 この計画は、Thonburi Automotive Assembly Plant Coとの10年契約が5月末に失効した後に発表されました。
 サンジェイ・ミシュラ最高経営責任者(CEO)によると、タタの自動車(主にピックアップトラック)は、バンコクにあるBangchan General Assembly Co(BGAC)において組み立てられることになります。BGACは、中国のピックアップトラック「フォトン」の組み立てを行っているPhra Nakorn Automobile Co(年間生産能力1万台)の子会社です。
 ミシュラCEOによると、タタはBGACと5年間の組立契約(5年ごとに契約更新可)を確定しました。BGACの工場では、タタ自動車の製造が10月から開始される予定です。
 BGACの工場は大量の従業員を雇用しているため一交代制で、1年間にピックアップトラック「ゼノン」を8,000台、小型トラック「スーパーミント」を2,500台組み立てる能力を有しています。

 「5月から9月までは、両モデル用に2本の組立ラインを導入する」とミシュラCEOは述べています。
 タタは約1,200台の「ゼノン」を在庫に抱えており、新工場で生産が再開されるまでは、今ある在庫から顧客に販売されます。
 「タイの自動車市場が競争的であるという私どもの確信は今も変わっておりません。だからこそ過去10年間、当地における自動車事業に40億バーツを投資してきたわけです」とミシュラCEOは語っています。
 2008年に設立されたタタ・タイランド社は、自動車の国内販売が過去3年間の減少を経て、昨会計年度は力強さを取り戻したと発表しました。2016会計年度(2016年4月−2017年3月)の販売台数は、前会計年度比19%増の1,344台でした。同じく2016会計年度の「ゼノン」のマレーシアへの輸出台数は、前会計年度比17.4%増の297台でした。
 タイの自動車市場は改善していることから、タタ・タイランド社は、現会計年度に2,700台を販売できると期待しています。同社はまた、今年のマレーシア向けピックアップトラックの目標販売台数を300台に設定しています。

4月の国内自動車販売は好調、穀物価格の上昇が一因

タイの4月の国内自動車販売は好調でした。長い休日があったにもかかわらず、新型モデルの発売やバンコク国際モーターショー、穀物価格の上昇が、その理由と考えられます。
 タイ工業連盟(FTI)が5月17日に公表したデータによると、4月の国内自動車販売台数は、3月の8万4,801台からは減ったものの、前年同月比15.1%増の6万3,267台でした。
 FTIの自動車工業倶楽部で広報を担当するスラポン氏は、「農産物価格の上昇と購買力の上昇が相まって、国内市場の空気は一段と活気を帯びつつあります」と述べ、さらにまた、「自動車メーカー各社が1−4月期に新型・新発想モデルを揃って売り出した」ことも指摘しています。
 特に4月の乗用車販売台数は、前年同月比23.2%増の2万5,493台と顕著な伸びを示しています。4月のSUV販売台数は、前年同月比3.9%増の3,665台に止まっていますが、ピックアップトラック販売台数は、前年同月比13.6%増の2万6,146台でした。また1−4月期のタイの国内自動車販売台数は、前年同期比15.7%増の27万3,757台でした。

 1−4月期の販売好調の勢いに乗って、今年の国内自動車販売台数はFTIの予想する80万台(前年比4.1%増)を達成する可能性が高いとスラポン氏は述べています。
 またFTIのデータによると、4月のオートバイ販売台数は、3月より25%減ったものの、前年同月比16.6%増の12万3,084台でした。また1−4月期のオートバイ販売台数は、前年同期比4.5%増の58万4,867台でした。
 それにもかかわらず、FTIの発表によると、タイの4月の自動車生産台数は64カ月ぶりの低水準となる前年同月比12.9%減の12万473台でした。
 1−4月期の自動車生産台数は、前年同期比6.1%減の60万6,028台でした。
 4月の自動車輸出台数は48カ月ぶりの低水準となる前年同月比14.4%減の6万8,927台でした。また4月の自動車輸出額は、前年同月比11.4%減の382億バーツでした。
 1−4月期の自動車の輸出台数は前年同期比9%減の35万3,228台、輸出額は前年同期比10%減の1,859億バーツでした。
 スラポン氏によると、自動車輸出の減少は、自動車生産に悪影響を与えているようです。